空と大地と呪われし天然NBC
前回、人為的な呪いについて解説したわけだけれども、実のところ
呪いって言う言葉はしばしば人為的でない現象についても
言われることがあるように思える。
例えばこんな感じである。
現在にくらべると昔の人は作物の豊作や不作をコントロールする
技術は当然低く、さらに肥沃でない土地を肥沃にすることなど
まったくといって良いほどできなかったことだろう。
となると、いくら種を蒔いても作物が育たない土地を
「お若いの… この土地は呪われし土地じゃぁ…
何を植えても作物など育ちゃあせん…」
などと騙ったり語ったりすることなどいくらでもあったことだろう。
あるいは流行病。
そりゃ現在はコッホやら北里やら電子顕微鏡やらがすごい勢いで
正体をばらしたせいで、流行病の原因が微生物やウィルスである
ことは明らかである。
ところが、今から150年前にはそんなことはまったくわからず…、
あ、でもマッドギャンブラーサイエンティストのジェンナーの
おっさんがいたか。
このおっさんの悪行(世間的には善行)はこちらを参照。
少なくともジェンナー以前にはどの程度わかっていたのかわかりはしない。
当然、流行病に権力者がかかったりするとこういわれる。
「祟りじゃ!権力者に追い落とされた○○の祟りじゃ!」
特に菅原道真公の祟りはすさまじかった、と記されている。
学者の家系の出だからなぁ…死後に自らの知識を使ったのだろうか?
まずその時代の天皇(醍醐天皇)の皇子が流行病で次々病死。
さらに宮中に落雷があり、それで死者が出るという異常事態に。
とどめに時の権力者藤原時平の一族も流行病で滅亡と相成った。
それ以外にも都に怪物が出るなど、まぁ上げればきりが無い。
結局死後に道真は罪を許され、さらに大宰府の祭神となり、受験生の
最高神として死後も働かされることに…受験は無くならんからなぁ。
とりあえず異常現象は収まったので道真公は満足されてるのだろう。
でも、現在となっては落雷は自然現象、流行病はウィルスのせい、と
現象は説明されているわけで、今更こんなもん呪いとか言ってたら
笑われても仕方が無い。
(でも数年前国会に落ちた落雷はびびったなぁ…大理石壊れたんだぜ)
天然のガスがたまってそれで生物が死ぬような場所なども、かつては
呪われし土地だったろう。
たとえば殺生石の伝説などがそれである。
殺生石とは九尾の狐が変化した美女(インド、中国、日本と渡り歩き
ゴージャス三昧しつつ国滅ぼしまくったすごい女狐)が、日本で
とうとう追い詰められて(でも大軍滅ぼしたりしてる)最終的に
射殺されたときに変化した最後の姿だといわれる。
この殺生石だが、その近くを通りかかった生物を殺しまくったそうだ。
(だが最後には供養され、改心しその毒を減じたといわれる)
現存する殺生石の周りからは硫化水素や亜硫酸ガス、砒素などが撒き散らされ
今でもそれなりに危ない。
もしこの石の周囲から、かつてはもっと大量のガスが噴出したとしたら…
そりゃ軍隊の一つや二つ壊滅してもおかしくない。
現在においても似たような事例が存在する。
かつて陸上自衛隊のある部隊が訓練を行っていた際に、腐敗が進んでいた
土地にはいったため大量の二酸化炭素を吸い込んで被害を受けたという
話である。
また、大台ケ原につたわる「ひだる神」も腐食によって二酸化炭素が
発生し、それを吸い込んだ人間が二酸化炭素中毒になったと考えられるのだ。
まさに天然の毒ガス兵器だ。
かつての知恵者はこういうところに敵軍誘い込んだかもしれないなぁ。
最後に天然の放射線による影響被害だが、普通に暮らしている分には無い。
しかし、仮にこんなことがあったとしたらどうだろう?
あるところでおっさんが光る石を見つけた。
あんまり珍しいので国の国王に献上することにした。
…そいつが放射性物質で国王が大変なことに。
ま た 放 射 性 物 質 か !
さすがにこんな事例があるかどうか知らないが、少なくとも三条天皇は
ほぼまちがいなく水銀中毒だったと考えられる。
丹(薬)に使われる水銀が原因だろう。うわぁ。
結局のところこういった自然に対する理解の未発達が原因で
呪われし○○が生まれたのだろう。
もっともほとんど科学の力で原因突き止めたが。
そんな中、いまだ不明な呪いがあったりする。
…例えば各地に存在する「別れる」スポットである。
いやそりゃ個別に原因とかあるだろうけどさぁ…男心も女心も難しい。
top